ヱヴァンゲリオン 新劇場版 2009/09/21__04:37

先日、やっとエヴァみてきましたー。

公開日に見に行く予定が、もう9月も末。
公開終了にギリギリ間に合いました。

内容は、Wikiにがっつり書いてますよね。ほぼ完璧。
結構、印象に残ったことがありましたが、素朴に
「話が違うんじゃねーの???」ってことでしょうか。

確か「序」「破」公開前の「新劇場版」についてのアナウンスは、
セカンドインパクト以前の話が展開されるという話だったと思います。

フタを開けてみると、キャラクター・ストーリーを少し変更して、
以前の話を再構成したというもの。ある意味、「なんだかな～」って感じ。

確かに、「破」では、かなりの変更点があり
・第三使徒が登場した
・使徒の見た目が代わった
・新キャラクターが登場した
・トウジじゃなくアスカが、3号機に搭乗した
・渚くんの登場の仕方が変わった
などがありました。

まぁ、それはそれで悪くないんですが、なんかオナニー映画だった頃の
エヴァの面白さが、楽しめなかったです。

というのも、僕が個人的にエヴァが魅力的だと思ったのは、「確実な世界」と
思っていたものが、実は「不安定な世界」であり、それを主人公シンジ他の登場人物が、
どのように受け止めていくかということを表現しようとしていたからだと思います。

そういう描写は、旧作の物語の後半に描かれていました。

「世界から必要とされていない自分」とと、エヴァのパイロットとして必要とされることによって、
逆にパイロットとして勝ち続けなければ、「いつ自分が世界から不必要とされてもおかしくない」
という形で展開される焦燥感

や、

自分や他人が如何に身勝手で、その身勝手さゆえに、いつ他人が（あるいは自分が）自分を
必要のないものと見なしてもおかしくないという不安

などが描かれ、劇場版映画の最終話では、１つになること、世界と自分が一体化することに
よって、その不安を解消するという解決策が提示されたものの、他人との関係で自分が維持
されているのだから、他人と一体化すれば、自分自身が存在しなくなるので、シンジは一体化
を選択しないという形でストーリーが閉じられていました。

旧作の最後で、アスカがシンジに「きもちわるい」と言ったのは、関係性の一つのとり方であり、
関係性を拒否する無関心に対するアンチとして、好意的な関係ではなく、敢えて敵意という関係
を出したのも、自分と他人との一つの関係性のあり方を強調したものだったように思えます。

旧作以前に、ヘーゲルの市民社会論に関連する「法哲学講義」などを読んでいた自分に
とって、ヘーゲルが主張する心身二元論から国家への一体化という思想の展開と似たような
印象を劇場版に感じ取っていたので、そういった意味で、エヴァに魅力を感じていたんですが、
どうも今回の新劇場版は、以前のものとは違う作品の作り方をして遊んでいるのかなという
印象を受けました。

一方で、ミサトさんや、リツコ先輩あたりの、不確実な確実性に依拠しながら、自分をなんとか
維持しているというあたりの描写は、シンジやアスカの不安定さとは対照的な心的描写で、
このあたりは、旧作でも、もうちょっと展開されてても良かったかなと思います。

以前のものは、物語的には、不明確な部分も残しつつ、すでに完結していたように理解することも、
できるので、それを求めるのは、消費者のわがままかもしれませんが。

で、新劇場版については、素朴に、一旦できた作品の不確実な（ストーリー）解釈の確実性に
依拠している意味では、先ほどのミサトとリツコのストーリー展開の延長上の現実だから、
仕方ないよねという感もあります。

えーと、ヘーゲルの法哲学についての解説本は、加藤尚武『ヘーゲルの「法」哲学』青土社
が、一番読みやすかったです。解説本はいっぱいあるんで、好みにもよると思います。

不確実な確実性は、ジュディス・バトラーなどの文献に見出すことができると思います。

最後に素朴な感想として、久しぶりの映画館もいいもんだと思いました。
ポッポコーンおいしかったし。